待ったなし! HRbaseの考える「パワハラ防止法」への取り組み方

コミュニケーション

働き方改革が叫ばれたことによって、「ハード面」つまりツールの導入や就業規則の整備への意識は、数年前に比べて相当高まりました。反面「ソフト面(人の問題)」の課題が浮き彫りになってきました。

その最たるものが「パワハラ」です。どのハラスメントも人の心を傷つけますが、会社という「自分の属する組織内」で受けるパワハラは、仕事と、そこに紐づく人生自体を蝕みます。

社会問題としてのパワハラの増加は、休職率・離職率や訴訟数などのデータとして、歴然とあらわれています。単なる人間関係の問題、そして根性論で片付けられないほどに。

 

国がパワハラ防止に乗り出してきた!

企業にパワハラ防止策を義務づける労働施策総合推進法の改正案が成立し、早ければ大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月にも義務化が始まる見通しとなっています。

職場における「パワハラ」とは、以下の3つの要素を全て満たすものです。


1:優位的な関係を背景とした
2:業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
3:就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)



「1:優位的な関係を背景とした」
とは、上司から部下や、経験者から経験が浅い者へのパワハラ、他にも技術を持つ部下から、技術が乏しい上司に対する「部下から上司へのパワハラ」や、特定の人だけ飲み会に誘わないなどの「同僚間でのパワハラ」が当てはまります。

次は「2:業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」。たとえば『お前は出来損ないだ!』などと朝礼で罵倒する行為は、業務に必要な範囲を超えており、2に該当します。その行為が1回限りではパワハラ認定はされないかもしれません。しかしパワハラは繰り返すもの。継続とエスカレートが見られる場合は、パワハラと認定されます。

「適正な範囲での業務指示や指導」とみなされる行為は、パワハラには該当しません。『パワハラ』と『業務指導』の境界線の定義については、現段階でははっきりは決まっていません。今後、国から何らかの指針が発表されるでしょう。

最後に「3:就業環境を害すること」とは、パワハラによる言動で「うつ病になってしまった」とか、実際に暴力を振られて「骨折してしまった」などが該当します。

どうでしょう。1,2,3ともに「思い当たる」人がほとんどではないでしょうか。実際に自分が受けていなくても、周囲で見聞きした、友人がされていた、もしくは「自分も知らずのうちにやっていた…」というケースもあるはずです。

 

ハラスメント防止法が成立した背景

今回のパワハラ法改正に関する『実施時期』と『背景』です。自分の身近にはない、ニュースの中だけだ…と感じている人こそ、実態・データを確認してみてください。ニュースで取り上げられるパワハラなんて、氷山の一角です。

ハラスメント防止法の実施時期

■大企業…2020年4月から義務化の予定
■中小企業…2022年4月から義務化の予定

中小企業の義務化は大企業の2年後ですが、その間もパワハラ対策は努力義務となっています。決して「対策をしなくていい」わけではありません。

実施される背景

■労働局へのパワハラに関する相談が増加し、事態が深刻になったため

都道府県労働局等へ寄せられる相談のうち、「いじめ・嫌がらせに関する相談」は、平成24年以降トップを飾っています。件数は平成18年度が22,000件、24年が51,000件、28年度が70,000万件と、驚くほど増加。さらに、潜在的なパワハラはその10倍はあるのではないか?といわれています。

参考サイト|厚生労働省 データで見るハラスメント

 

会社の対応は何が必要?

今回のパワハラ法改正により、会社がするべき措置は下記の通りです。

■事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
■苦情などに対する相談体制の整備
■被害を受けた労働者へのケアや再発防止
■社員研修の実施
■被害相談を理由とした解雇等の不利益な取り扱い禁止と、周知

この辺は、有識者、社会保険労務士、HR系メディアの情報があまた出ているので、気になる方はそちらもどうぞ。

HRbaseとして気になるのは、「制度」と「コミュニケーション」のバランス。今回のパワハラ防止対策の義務化では、パワハラを行った本人に対する法的な罰則ができるわけではありません(もちろん暴行などあった場合は、刑法にあてはまります。名誉棄損があった場合なども同様です)。

そのため、会社としては懲戒規程に記載するなど社内罰則を定め、社員に「やったらマズいことになる」というリスクを認知させ、ルール順守への意識を高める必要があります。

 

会社が変われば、社員も変わる。3つの「すぐやるべきこと」

社員のパワハラへの意識を高めたければ、まずは会社風土の変革が必要です。

会社がパワハラを問題視していること自体を、社員に周知する

会社がパワハラへの問題意識を持っていると社員に周知し、社員に意識させるきっかけをつくります。社員がパワハラを自分事として捉え始めれば、大きな抑止力のひとつになるでしょう。

また仮に現在進行形でパワハラが発生していても、被害者もしくは加害者が、それがパワハラだと気づいていないケースもあるので、問題発覚のきっかけにもなります。

階層構造から生まれるひずみに注意する

パワハラをはじめとするハラスメントは「誰かが、誰かを下に見る」という階層構造の意識からエスカレートして発生します。「あいつは俺の部下だから、からかったりしても大丈夫」「新入社員には社会の厳しさを叩き込まねば。それはリーダーである自分の役目だ」なんて考えている管理職がひとりでもいれば、その組織はいずれ崩壊するでしょう。

「役職」と「権力」はイコールではありません。世間を騒がせた、スポーツ界のパワハラ事件の数々を思い出してください。理事長や監督なら、選手に暴力を振るう権利があるのでしょうか?あれと同じ構造が、会社内にはびこってはいませんか?また、部下たちは「偉い人だから」と忖度をして、いいたいことがいえなくなってはいませんか?

コミュニケーションで解決する

パワハラは、コミュニケーションで解消できるとHRbaseは考えています。コミュニケーションとは単なる会話ではなく、「相手を知ろうとする努力」や「相手の存在の承認」にも繋がります。コミュニケーションを取られた側は悪い気はしませんし、理解し合おうというポジティブな行動が積み重なれば、相互の「これをされたらイヤ」という感覚を知る機会になります。

 

対応をしないとどうなる?そのリスクとは?

コミュニケーションによるパワハラ解消は、数字で結果が見えません。しかし法律で定められる以上、パワハラに対する適切な措置を講じていない場合は、是正指導の対象となります。

ただし、この法律では「50万円以下の罰金」等の明確な罰則規定は設けられていません。その代わり、以下のペナルティが設けられています。

・問題が見受けられる場合には行政指導が入る
・是正勧告を受けたにもかかわらず、従わなかった場合は、社名が公表される

特に社名の公開は、罰金よりも大きなダメージを受けるでしょう。「あの会社、パワハラが横行してるって」という風評は、求人や、取引先拡大などにもリアルに影響を及ぼします。

罰金の規定がまったくないわけではありません。行政(厚生労働大臣)は、事業主に対しパワハラに対する措置と実施状況について報告を求めることが可能です。それに対し「報告をしない」あるいは「虚偽の報告をした」場合については、「20万円以下の過料」が科されます。

リスクは罰則だけではありません。それよりも民事上の訴訟リスクや、SNS拡散による風評被害が会社に大きな損害を与えます。最悪、パワハラを受けた社員が自殺すれば、刑事事件になる可能性もあるでしょう。

 

ハラスメント全体に対する意識向上が求められる時代

パワハラ、セクハラ、マタハラ、モラハラにアカハラと、昔は「いやがらせ」とくくられてきた行為に、名前が付くようになりました。

何にせよ、同じ会社で働くメンバーが、誰かに虐げられたり、傷つけられている状態を放置していては、「いい会社」などできっこないはず。いくら対外的に「ダイバーシティが」「SDGsが」などと、良さげなことを語っていても、社内の人間関係にひずみがあれば、大きな目標など達成できません。

まずは「パワハラ防止に関する社内ルール」を決めましょう。そしてパワハラを行うとどんな処分を受けるのかも明確にしましょう。自分のキャリアをパワハラ加害者として終わらせたくない…と思えば、予備軍への抑止力にはなり得ます。

その次は「コミュニケーションに関する施策」を打ちましょう。大切なのは会話の量と質を高め、相互の価値観理解に軸足を置くこと。相手を「自分とは違う考えを持つ存在」として認め合わない限り、ハラスメントはなくなりません。

HRbaseでは、ルール化に関しては「HRbase就業規則」、コミュニケーションに関しては「アンガーマネジメント研修」を提供しています。年間500社以上が利用する就業規則作成システムのノウハウと、経験豊富な研修講師のノウハウを生かし、現場課題をスピーディーに解決する仕組みをととのえています。

「パワハラ防止法の施行はまだまだ先」と思っていてはいけません。明日、あなたの会社でパワハラが起きても、おかしくはないからです。法律があろうとなかろうと、自社内の環境をととのえるために、パワハラ防止に取り組む必要があるでしょう。

 

 

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