エンゲージメントとは? その意味と、日本の会社のエンゲージメントが低い6つの理由

コミュニケーション

頭の固い上司が、突然「エンゲージメントを高める!」などと声を上げ、口だけの表面的な対策を指示し始めたら…「昨日の研修で何を吹き込まれてきたのか」と部下たちはヒヤヒヤ。今さら愛社精神でもないだろう…と、その指示を聞き流してしまうかも知れません。
しかし、今エンゲージメントへの意識を高めることは、会社の将来を担う若い世代のための「地固め」となり、ひいては自分たちが管理職になったときの社風を良くしておく、未来のための施策でもあるはずです。

社員は機械ではなく、心を持つ人

エンゲージメントとは、労働環境においては「愛着心」や「思い入れ」を意味します。

企業は社員に対し、給与の支払いや福利厚生の提供を行い、社員は労働力を企業に提供します。このように、企業が社員を雇うことは、一種のビジネスといえるのです。

しかし、社員は給与や福利厚生だけで企業に雇われているのではなく、エンゲージメントも深く関わっています。どれだけ給与が高く福利厚生が充実していても、愛着を持てない企業であれば、早々に退職したくなるでしょう。もちろん、社員によって考え方が異なるため、十分な給与さえ支払われればいいという人もいますが…

エンゲージメントが低くなると、離職率が上がったり、ミスが増えたりと、企業の収益性や安定性に悪影響が及びます。このように、十分な給与や福利厚生を提供すればいいわけではなく、エンゲージメントの向上にも注力しなければなりません。

日本の会社のエンゲージメントが低い、6つの理由

日本の会社のエンゲージメントは低く、社員は給与や福利厚生、労働時間などの待遇や環境で企業を選ぶ傾向があります。これには、次のような理由が考えられます。

理由①長時間労働が根付いている

日本は世界的にみて働きすぎといわれています。長時間労働が根付いている企業も多く、過重労働によってパフォーマンスを発揮できないケースもあります。このように、納得できる労働環境ではない企業に対し、愛着を持てないのは自然なことでしょう。

長時間労働は、社員の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。これでは、エンゲージメントどころか、身体を壊す前に転職しようと考える社員も少なくないはずです。

理由②会社に楽しさを見出せない

社員は労働力を提供し、対価となる給与を得ています。しかし、会社に楽しさを見出せなければ、長く勤める気持ちを持てません。

他の社員とのコミュニケーションや連携、業務などに楽しさを見出すことで、会社に愛着を持てるようになります。エンゲージメントが低いということは、楽しさを見出す余裕がない労働環境であったり、労働時間や環境に対して待遇が悪かったりと、何らかの事情があると考えられます。

理由③給与に公平性がない

社員によって給与が異なるのは仕方のないことですが、業務量に対して給与が高すぎる社員がいると、給与への公平性が失われ、モチベーションが低下してしまいます。

また、正社員の自分よりも、アルバイトや派遣社員の方が好待遇の場合は、さらにモチベーションが低下するでしょう。会社への不満が高まっていき、同時にエンゲージメントが低下していきます。

理由④コンプライアンス違反などによる、会社への不信感

残業代の未払い、サービス残業、取引先との上下関係を利用した法律違反など、企業のマイナス面を知ることで、エンゲージメントが低下します。

納得できない労働環境であったり、誇れる仕事ではなかったりと、さまざまな問題が関係しています。愛着心を持たれるようになるには、コンプライアンスを守り、適切な労働環境を提供しなければなりません。

理由⑤やりがい搾取の傾向がある

やりがい搾取とは、「これは、やりがいがある素晴らしい仕事だ」などといい、給与に対して負担が大きい業務を押しつけたり、劣悪な労働環境で働かせたりすることを指します。残念ながら日本では、根性論や下積み論、やりがい論などが横行している企業がいまだ珍しくありません。

雇用関係においては、労働力に見合った給与や福利厚生を社員に提供する必要があります。適切な雇用関係を築けていない場合、社員のエンゲージメントが向上することはあり得ないでしょう。

理由⑥上司のマネジメントが下手

上司は、部下に対して適切な量の業務を適切に割り振る必要があります。しかし上司のマネジメント能力が低いと、業務遂行能力を超えた業務を割り振ったり、特定の社員に大量の業務を指示したりしてしまいます。その結果、不平不満を感じ、エンゲージメントが低下するのです。

また、部下を褒めず、追い詰めるような言葉ばかり使う場合もエンゲージメントが低下します。この場合、マネジメント能力が高い上司に変更することで、エンゲージメントが向上する可能性があります。

 

会社と社員のコミュニケーション、取れていますか?

エンゲージメントは、会社が社員に求めるものではなく、社員が自発的に会社に対して持つもの。そのため、会社がエンゲージメントを声高らかに叫んでも、社員には響きません。

むしろ、愛着を持てないような労働環境であるのに、エンゲージメントを叫ぶことで、ブラック企業だと思われる恐れもあります。

エンゲージメントを高めるためには、労働環境をととのえるだけではなく、組織内のフラットなコミュニケーションを心がける必要があるでしょう。1対1でコミュニケーションをとる機会を設け、日ごろの不満や業務の改善点などを伝えられる風通しの良い環境作りが大切です。

 

会社にも社員にもメリットがあるエンゲージメント

エンゲージメントを高めることには、会社と社員の両方にメリットがあります。それぞれのメリットをご紹介します。

会社側のメリット

エンゲージメントが高まることで、社員が業務に対して対価以上の働きをするようになり、結果的に顧客満足度や売上、利益率が上がります。さらに、離職率の低下や株価向上なども期待できるでしょう。エンゲージメントが高い状態は、社員のパフォーマンスを最大限引き出せるため、結果的に企業価値が高まります。

また、社員の表情に活力がみなぎり、イメージアップにも繋がります。

社員側のメリット

エンゲージメントが高い状態では、高いパフォーマンスを発揮できるため、仕事効率が上がります。さらに、個人ノルマの達成にも繋がり、モチベーションが高まるでしょう。

モチベーションが低い状態で仕事をしても、楽しくありませんが、モチベーションが高まれば、仕事を楽しめるようになり、より良い人生へと繋がるでしょう。また、業績が上がることで、結果的に給与や賞与が高くなり、経済面でメリットを得られる可能性もあります。

 

エンゲージメントを高める4つの施策

では、エンゲージメントを高めるために取り入れたい施策を、4つ紹介します。

施策①ミッション及びビジョンの共有

まずは、会社のミッション(経営理念)とビジョンを全社に共有します。社員は、自身の仕事がどこに向かっているかを理解したとき、はじめて本当の主体性を獲得します。そして、会社と社員個人が目指す「目的」が合致したとき、エンゲージメントは一気に高まります。

施策②柔軟なマネジメント

やる気や実力のある社員を、簡単にスポイルしてしまうのが、マネジメントスキルのない管理職です。エンゲージメントのためには、部下に適切な指示を出し、報連相のしやすい関係性を築けるマネージャーの存在は必須。

そもそも「エンゲージメントなんていらない、黙っていわれた仕事をこなせばいい」と考える古い体質の管理職がいる場合は、意識変換から促す必要があります。

施策③評価体系の見直し

社員の頑張りが、正しく評価される環境をつくらなくてはいけません。数字に表れない努力や、個人の考えを知るためにも、従来型の評価面談ではなく、コミュニケーションを軸とした1on1ミーティングなどを導入し、社員の主体性を引き出し相互理解をはかる取り組みが求められています。

施策④チームビルディング

いくら良い上司がいて、評価体系がととのっていても、チームの風通しが悪いと、エンゲージメントは高まりません。よくいわれる「仕事は、何をやるかではなく、誰とやるか」という言葉からも分かるように、チームメンバーのコミュニケーションが取れていれば、多少厳しい局面でも「よし、ここで頑張ろう」と思えるからです。

親睦だけではなく、役割分担の共有をしたり、働き方に対する意見交換の場を設けることで、相互理解は進みます。

エンゲージメントは「人」の課題

エンゲージメントの向上は、働く「人」の課題。そのため「これを導入したら改善する」と明確に判断はできませんし、数値結果も取りにくくなっています。だからこそ、今の日本の会社に不足している要素だともいえるでしょう。

最近では、社内コミュニケーションのためのアプリなどもたくさん開発されています。もしあなたやあなたの上司が「我が社には、エンゲージメントなど不要。今のままで大丈夫」と思っているなら、まずは時流を知ってみてください。「社員の愛着心が、会社をよくする」と気付いた会社が、どんどん新しい考え方に移行しています。取り残されることのないよう、今一度「社員ひとりひとり」の課題に向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

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