※本サービスは2022年12月に終了しました


お客様名:一般社団法人 日本インバウンド促進協会 代表理事 阿部正和さん
所在地:大阪市中央区本町4-2-12 東芝ビル8階‐53
社員数:正社員、パート含め20名以下

多様性×国際人材 サービス業の現場で活きる就業規則とは

ー活動内容を教えてください。

一般社団法人 日本インバウンド促進協会では、海外の大学生をOJTという形で日本企業に受け入れていただき、国際人材育成を行っています。旅行者を招くインバウンドではありません。

日本では、大学を卒業時には論文を提出しますが、海外ではOTJ(自分の学部に関する企業での研修)が重視され、行わなければ単位が取れません。たとえばフィリピンの観光学部生ならエアラインやホテルに自ら電話をして、受け入れ企業を探します。バイトではなく、学習の一環として1000時間、約半年のOJTが卒業要件になっています。

問題は受け入れ企業がなかなか見つからないことです。「OTJ先を斡旋する」と声をかけ、渡航費用、滞在費だけではなく手数料も取る海外ブローカーも存在します。学生が借金をつくる羽目になりますが、OJT先は本当に見つかりにくいため大学は黙認しているのが現状です。

そこで私たちは、日本企業と手を組み、学生の受け入れ支援を行っています。OJTで来日した優秀な学生が、日本文化を理解したうえでそのまま就職を希望してくれたら、それは素晴らしいことです。

ー人材不足が懸念される日本において、有意義な取り組みですね!ところで、ここまでお聞きするに、就業規則が必要な要素が見当たらないのですが…

受け入れ企業を探す中で、ホテルのレストランから運営委託のお話をいただきました。

私は長年ホテル業界で勤務してきましたから、ノウハウはあります。ホテルとレストランでOJTの受け入れをお願いして条件面を整え、日本人スタッフも雇用して運営を開始することになりました。そこで就業規則が必要になったのです。労務に関する専門知識はないので、ネットで検索してHRbaseを発見しました。WEB上で完結でき、私どもの運営方針に沿った就業規則が制作できそうだったので、軽い気持ちで申し込みました。

就業規則を作成したのは、2020年の2月です。活動を本格化しようと思った矢先に、新型コロナが流行し、4月からは休業せざるを得なくなりました。6月よりレストランは再開していますが、海外学生はまだ日本に入国できずにいます。

クラウドで作成することへの不安はなし、アフターミーティングを有効活用

ー就業規則をWEBで作成することに、不安はありませんでしたか?

まったくありませんでしたよ。就業規則というのは四角四面で、どれを見ても同じに見えますね。作成時も決まったテンプレートに当てはめていくだけだと思いますので、それぞれの項目についてWEB上でカスタマイズできる方がいいと思いました。顧問契約を結んでいる税理さんはいるので、相談する手もありましたが、予算面のこともありHRbaseでお願いしました。

ーありがとうございます。「クラウド作成に不安がない」というユーザーさまが多く、実は驚いております。

HRbaseさんが思うほど、不安材料はないですよ。パソコンが得意なわけではない、今年60歳の私でもスムーズに入力できました。それから、アフターミーティングではリアルタイムに内容を変更してくださいますよね。

ーアフターミーティングでは、オンラインでGoogleドキュメントの画面を共有しながら、その場でカスタマイズに応じております。

あれは今どきですね。とても便利でした。

このようなサービスで必要なのは、自社の現場に合った就業規則ができるのだろうか?という不安を払拭することですよね。入力後に、サポートの方と話し合いながらアドバイスが受けられるのは、とてもいいと思います。それから、第1章に自分たちのビジョンやサービス精神について盛り込めるのはいいですね。スタッフには入社時に渡すのと同時に、WEB上でいつでも閲覧できるようにしています。

働き手と雇い主が、もっとうまくマッチするために

ホテル業界に長くいらっしゃったということですが、今の観光・飲食業界の働き方についてどのようにお考えですか?

私は30年近く、さまざまなホテルで勤務してきました。外資にいたこともありますが、労務トラブルは日本が多い印象があり、特にサービス業ではその傾向が強いと感じています。だからこそ就業規則は必要ですよね。

ーHRbaseのユーザーさまの業種はバラバラですが、広く見ると25%がサービス業です。

サービス業とは、接客業です。顧客対応の現場では、勤務時間を明確に区切れないことも多いでしょう。定時だからといって、顧客対応を途中で放り出すことはできません。見込み残業制を導入している企業もありますが、働く側からみると「残業が多いのか」とネガティブに受け取られるケースも多いと思います。このあたり、就業規則で何とかできませんか?

業種によって、就業規則の表現方法は変わっていいと思います。「うちではこういう意図で、こういう制度を入れています」と、ネガティブに感じないような記載ができれば、働き手と雇い主はもっとうまくマッチするのではないでしょうか。

ー就業規則は、トラブルが起きたときにしか見られないという面もありますよね。

就業規則というのは社会のマニュアル、取扱い説明書のようなものです。困りごとやトラブルがなければマニュアルは開かれませんが、かといって、なければもっと困ります。労使問題では、99%、労働者に有利な判決が出ます。法律上、労働者が守られようにはなっていますが、会社もトラブルが起きないよう、あらかじめ就業規則を用意すべきですね。

学生の熱意を感じながら、活動を続けていきたい

ーありがとうございました。アフターコロナでは人材活用の多様化も、もっと進むと考えてよさそうですね。

これからの日本で、外国人や女性などの多様な人材の活用は、避けて通れないと思っています。就業規則にも多様性が必要になっていくはずですから、HRbaseさんでモデルケースをつくっていかれてはどうでしょう?

OJTの受け入れに関しては、まだ再開のめどは立っていません。しかしフィリピンの方の熱意は高く、日本で働いてみたいというお声をたくさんもらっています。私どもが、国際人材と日本企業の橋渡しになれるよう、受け入れを検討してくださる企業さまも探しております。

早くコロナ騒ぎが収束し、多様な人材を活用できる日本社会になればよいと思っています。

(取材 2020年10月1日)

一般社団法人 日本インバウンド促進協会


広いご経験と知見から、サービス業と就業規則についての貴重なご意見をいただきました。就業規則は書類である以上、言葉にイメージが左右されます。会社のルールがネガティブに捉えられず、職場と人材のマッチングのお役に立てるような就業規則が作成できれば、観光・飲食の現場でもっと活用いただけるのではないか、と気付かせていただきました。取材へのご協力、ありがとうございました。

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