
上水社会保険労務士事務所 上水毅さま
所在地 | 宮崎県宮崎市 |
開業 | 2019年10月 | 顧問先数 | 40社 |
私は宮崎県で生まれ、生活のほとんどを同県で過ごしました。宮崎県は豊かな自然に囲まれ、美味しい食材にも恵まれた住みやすい場所です。
大学を卒業後、宮崎県内の医療・福祉系の法人にて総務を10年間ほど勤め、退職後は宮崎地方検察庁で任期付事務官として公務に従事していました。
令和元年に上水社会保険労務士事務所を開業し、現在は宮崎市内の商業施設が集まる一角に事務所を構えています。 他テナントへのお客さまの往来も多く、ときには飛び込みのご相談をいただくこともあり、賑やかで活気の溢れる環境にあります。
開業して納得度が上がった「社会保険労務士の仕事」
社会保険労務士は「何をする人なのか」、一言では説明しにくい仕事かもしれません。試験勉強中や開業前は自分でも「何が提供でき、どこに価値を見出してもらえるのだろうか」と、なかなかイメージが湧きませんでした。
一問一答のような問答を続けていましたが、インターネット等での情報取得が容易になり、そのこと自体の価値は希薄であること、社労士に求められる価値は制度や法令・世の中の潮流やその他さまざまな要素を思慮した上で提案し、着地させられる力なのだと理解しました。
現在は主に相談顧問として、人事労務コンサルティングも受託しています。しかしコンサルという言葉から受ける華やかな印象とは裏腹に、その業務は地道な作業の連続です。コンサルティング業務のみならず、社会保険労務士の仕事は顧問先の経営の根幹にかかわる、実直さが求められる仕事であると改めて実感しています。
課題の経緯、顧問先の歴史を踏まえた提案を
宮崎は中小企業が多く、九州らしいといいますか、中には豪快で気前のよい経営者も多くいらっしゃいます。
ときには「給与よりも賞与を上げてあげたい」というご相談もお受けしますが、「賃金設計見直しや助成金受給の前段階として、まずは法令の遵守状況の確認をしてみましょう」とお伝えすることもあります。
「労働者の利益とは、会社にとっての利益とは」。金額のみに囚われず、それぞれの本質を意識して提案することで不均衡を可能な限り防ぎ、筋の通った盤石な雇用環境を構築できると考えています。
経営者やご担当者にもその趣旨を理解いただくため、説明は分かりやすく丁寧に行っています。特に人事戦略などは対象者や従業員に目的を正しく理解していただかなければ、無用なトラブルが発生してしまいがちです。法令遵守で基本的な制度をつくり、その上で経費バランスを考えた戦略を立てていけるよう、ご相談からの提案を実施しています。
また、労務の視点から地域経済をサポートする者としては、地域性の理解も必要です。「ルールを守りましょう」は誰でもいえますが、そこに至るまでの経緯や、会社の歴史や風土を理解した上で敬意を払い、建設的な提案を行うことを常に心がけています。
判断の属人化を防ぐため、HRbase PROを導入
HRbase PROはSNSでその名称を知り、その後資料等をご提供いただき、導入の検討を進めました。
最終的には「判断の属人化を防げる」という可能性に惹かれて導入しました。労務相談内容や解決プロセスは顧問先によってさまざまで、過去の情報を誰が持っているか、誰が携わったのかが分かりにくくなりがちです。そのような状況の中、経緯を積み重ねて財産化できるのは大きな魅力です。
HRbase PROでは主に資料管理機能を活用しています。労務相談の回答時に資料を添付し、私なりの見解や落としどころのご提案を追記してお送りするという流れです。公的情報だけではなくコメントを追加するのは、内情を知る顧問社労士だからこその付加価値だと考えています。
私の返答もHRbase PRO内に蓄積されますから、将来的には過去データをうまく活用していきたいですね。
ただし経営者やご担当者はスマートフォンからコミュニケーションアプリで直接労務相談を送ってくださるケースも多いので、情報が分散しないよう履歴をHRbase PROと棲み分けなければいけないという課題もあります。そのあたりの機能改善も期待しています。
顧問先の属人化も解消したい
クラウドツールの活用は、自分の事務所のためだけではありません。中小企業では総務や労務のご担当者がおひとりであったり、片手間で行わざるを得ないようなケースも多く見られます。担当者の退職や休職で、待ったなしの労務はあっという間に滞り、従業員の不満も生じてしまいがちです。そのような状態を防ぐため、顧問先には属人化防止のための業務改善提案もしているところです。
最近は「ジョブ型雇用」という言葉も日常的に耳にするようになってきましたが、働き方の常識の変化は加速していると日々感じています。「雇用はより流動的になる」という前提で考えたとき、労務管理を盤石にしておかなければ会社は強くなりません。
社会保険労務士はそのような社会課題に専門家として関わっていける、使命ある仕事ではないでしょうか。
持続可能なサービス提供を目指して
社会保険労務士は顧問先から「後継者がいない」「経営者が倒れたがどうすればいいか」などの相談を受けることも多いはずです。実際私の顧問先にも、高齢の経営者が病に倒れ、急遽の対応が必要になった会社もあります。
そのようなシーンに出会うたび、サービスを提供する我々社労士事務所も持続性が肝要であると強く感じるようになりました。
「あの所長だから」というご指名はこの上ない喜びであり、間違いなくありがたいことです。しかしながら、その人がいなければ業務が回らない、価値の提供が維持できない、というのは無視できない脆弱性でもあります。
強い体制はそれ自体が価値となり得ますし、さらに「サービスの持続性」を考えたとき、やはり属人化の解消は避けて通れません。
そのため今後は、事務所の体制づくりに注力していきます。代表者が不在の間に運営が滞らないことは当然のこととして、提供するサービスの維持向上が実現できる体制を目指し、多くの企業さまの組織づくりのお役に立てるよう進んでいくつもりです。