働き方改革をうまく取り入れるには、「基礎づくり」が重要

働き方改革

会社の土台って、何だろう

昭和・平成の、年功序列・終身雇用の時代。働き方の「土台」は明確でした。

会社は正社員を雇用し、一生涯の生活の安定を保証する。
社員は会社に人生を捧げ、会社の発展のために尽くす。

その土台の上に、信頼関係が成り立っていたからです。

しかし新しい時代はすぐそこまでやって来ています。30年といわれていた会社の平均寿命は20年強となり、これからも短くなることが予想されます。それに対し、人間の平均寿命はどんどん伸びていき、今生まれた子ども達の半数は107歳以上生きるともいわれ始めています。

老後・余生に対する意識も確実に変化します。
もちろん、定年は間違いなく伸びます。

つまり、会社が社員を雇う上で一生面倒を見るという信頼関係は、もう結べなくなってしまうのです。

そのギャップは、会社の平均寿命が短くなり、人の平均寿命が長くなるにつれ、どんどん拡大していくでしょう。

だから今こそ、「働く」を根本的に見直す必要があるのです。

「働く=雇用契約」であることを、忘れていはいけない

「働く」とは、労働法では「雇用契約」です。
これは、会社で働くことは、主従関係ではなく契約であることを意味します。

契約というと味気なく聞こえるかも知れませんが、これからの時代は

・会社が何を提供するのか
・社員が何を提供するのか
・その2つは見合っているのか

を明確にして、よりよい契約関係を結ぶ必要が出てくるでしょう。会社側も、今までのように「働け」といって当然のように労働をさせていた状況に対し、考え方を刷新しなくてはなりません。

雇用契約の基本は、労働と金銭の交換

会社が社員に対して、何を提供できるか。その中心は、もちろん「給与」です。労働契約の基本は、労働と金銭の交換だからです

しかしもう少し広く捉えると、それ以外にも提供しなくてはいけないものがあります。

そのひとつが、労働環境です。

社員にとって魅力的な会社とは?と考えるとき、何を思い浮かべますか?
やりがいのある仕事、将来性のあるビジョン、社会性、志を共にする仲間たち、信頼できる上司…

それらは、給与以外のインセンティブをあげるときに真っ先に思い浮かぶものたちであり、確かにどれも必要です。しかし、今一度立ち止まり、足元を見てもいいのではないでしょうか。

たとえ、どんなにキラキラしたものがあっても、

・会社のルールが不明瞭で、有休や休職のルールがわからない
・給与計算にミスが多い
・労働時間が長く、それへの対策や注意もない
・入社時や住所変更時、ライフイベントのときの書類や業務フローがあいまいかつ適当

こんな職場では、優秀な人材は長く働き続けられません。

特に「キラキラしたもの」は短期的には魅力的に見えます。逆に「労働環境」は地味で、後回しにされがちですが、キラキラしたもので引っ張れる勢いのある期間は、せいぜい3年が限度でしょう。

何しろ、ドーパミン分泌は恋愛と同じで3年しか持たないといわれていますから。

労働環境の良し悪しが、そのまま会社のブランドイメージになる時代

会社には、「労働環境をととのえておく」ことが今まで以上に求められていきます。

最近では「ブラック企業」という言葉が拡大解釈され、ひとり歩きしています。もともとは。社員を無理やり辞めさせたりする理不尽な会社を指しましたが、今では単に残業が多いだけで、そう呼ばれてしまう風潮になっています。そしてそれは、ブランドイメージに直接影響を与えます。

また社員側のリテラシー向上により、新卒の社員や、その家族などが就業規則などの会社ルールの開示を求めてくるケースも増えています。

これは、今までにはあまりなかったことであり、会社側ももはや、「中小企業だから」「ベンチャーだから」労働環境の整備が遅れている、仕方がない…という言い訳を使うことができなくなっているのです。

労務リスクはどんどん増えている

労務リスクもどんどん増えています。社員が3人しかいない会社でも、訴えられることはあります。そして訴訟で支払った金額で潰れた会社も、多数あるのです。

労務に関する訴訟は増加し、労働法についての知識がネット上に溢れ、今や社長よりも社員の方が労働法に詳しい、というケースも多々見られています。

だからこそ、会社は「しっかりとしたルール」をととのえ、社員との信頼関係を築いていかないといけないのです。

改革を叫ぶ前に、基礎固めを

働き方改革とは、耳ざわりのよいフレーズです。

しかし、改革を叫び、「キラキラした」表面的なメリットだけを整備したとしても、あっという間にそのメッキははがれてしまうでしょう。

本当に働き方を改革したいのならば、社員が提供するものと会社が提供するものが、釣り合っている状況を目指さなくてはいけません。

さらにその先に必要なことがあります。それは、「社員にとって働くことが生きがいになる環境」を、会社側が提供することです。

人は、言われてやる仕事、やらされる仕事では絶対に幸せになれません。またパフォーマンスも発揮しにくいでしょう。

だからこそ会社はビジョンを明確に掲げ、多様な働き方ができる環境を用意し、ひとつひとつの仕事に意味を持たせ、結果に見合う報酬を用意しなければいけないのです。

そのためには、会社の基礎がぐらつかないように、しっかりとした土台をつくっておく必要があります。
もしあなたの会社が、間に合わせの「キラキラ施策」だけで働き方改革を取り入れようとしているのなら、今一度、足元に目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

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