お話いただいたのは
事務所名 | 社会保険労務士法人こころ社労士事務所 |
所在地 | 大阪府茨木市 |
代表 社会保険労務士 | 香川昌彦さま |
スタッフ | 藤井鞠奈さま |
HRbase PRO導入時期 | 2023年6月 |
コロナ禍で実務経験を積み、着実な成長へ
ー事務所について教えていただけますか
香川
令和2年の1月1日に開業し、現在はスタッフと2名で経営をしています。
社労士業務の経験がないままの開業で、すべて手探りです。ちょうど新型コロナの緊急事態宣言の時期と重なり、雇用調整助成金ラッシュも経験しています。お困りの企業が多かった時期ですから、私のような未経験社労士にも「36協定できないか」「雇用契約書は?」とどんどんお声がかかりました。
コロナ禍で労働局も閉まっており、ハローワークの窓口ですら雇用調整助成金を理解してないというハードな状況でしたが、毎日朝6時に厚労省のホームページを覗くのが習慣になり、気付いたら知識が集積して、いまに至ります。
藤井
私は令和6年の2月に入社しました。まだまだ経験が少なく、教えていただきながら業務を行っています。
香川
私自身、手続きの経験が豊富なわけではありません。HRbase PROの導入から少しして藤井さんが入社しており、知識の共有や蓄積にいいタイミングだったと思っています。
藤井
私は手続きまわりの業務を任せていただいていますが、入社したときにはHRbase PROがあったので助かりました。
香川
藤井さんは私より事務経験が豊富で、最初に想像した以上に仕事ができる方で助かっています。ただし社労士業務は未経験です。
一緒に働く人がいると、自分も理解しないといけません。よい緊張感が生まれ、業務の可視化にもつながっています。
自身の辛い経験がつないだ、社労士への道
ー香川先生が社労士になり、未経験で開業された経緯をお聞きできますか?
香川
営業一筋のキャリアでしたが、うつ病と診断されて総務部に異動になったことがきっかけです。総務のイメージが持てず、人事部長に「何していいかわからへん」と聞くと、社会保険労務士の勉強をしたら部署の仕事がわかるよと言われ、通信教育で学び始めました。
勉強を開始してすぐ、労働基準法を「面白い!」と感じました。なるほど、働くってこういうことなんや・・・と腑に落ちましたね。営業をしていると「給料がなんぼ」と決まってるのが当たり前でしたし、管理職で残業も気にせず働いていたので、労務の知識が新鮮でした。「就業規則」という言葉さえ知らなかったくらいです。
4月初旬にテキストが届き、勉強したのは半年程度で8月初旬にテキストを終えるというギリギリの状態でしたが、その年の試験で合格してしまいました。
その後転職しますが、再び心身のバランスを崩してしまいます。収入を得るためにライティングの仕事を受けたり、そのご縁でメンタルヘルスサイトの仕事を通じて知った「就労移行支援事業所」に通い、社会復帰のためのトレーニングを受けたりもしていました。
心身のバランスを崩し社会に出られなくなってから約10年が経過し、どうやって自立しようか考えた末、社労士として開業することを選びました。「こころ社労士事務所」という名称も、自分がパワハラや過重労働、いじめなどを見てきた経験から「心を守れるような社労士になりたい」という願いで付けています。
ー壮絶ですね。
香川
顧問先も私の想いに共感してくださる社長ばかりですが、それだけではなくクオリティでも満足してほしい、他の社労士さんに負けたくないという気持ちを持っています。しかし勉強時間には限界があるので、HRbase PROを活用しながら知識を向上させたいと思い、導入を決めました。
ーお役に立てて何よりです!
香川
HRbase PROで何か調べると、サクサク情報が出てくるので助かっています。
ベテランの社労士先生には追いつけませんが、おかげで5年目の成長速度としては早いほうだと自認しています。
社労士は「人間性を全部売る仕事」
ーホームページもしっかりメンテナンスされており、発信活動も活発に行われていますが、営業活動はどうされていますか?
香川
弊所は士業からの紹介がほとんどなく、知人の経営者からの紹介、直接のご相談、そしてホームページからの問い合わせがメインになっています。「あなたに相談したい」と選んでいただけているのは、ありがたい限りです。
ーそれはすごいですね。
香川
社労士は知識だけではなく過去の経験も含め「人間性を全部売る仕事」だと思っています。私はメンタルを壊した経験があるので、悩みを誰にも言えていない経営者がすぐわかるんですよ。「社長、いまこんな風に辛くないですか?」と聞くと「なんでわかるの!?」と驚かれますね。
税理士さんにも社員にも相談できないとお悩みのときは、うちのオフィスに来社いただくこともあります。開業後の社労士さんは「軌道に乗ったら事務所を借りよう」と思っている方も多そうですが、さっさと事務所を借りることをおすすめしたいです! 安心して話せる場所があればサービスが深まりますから、顧客との絆も深くなります。
ー提供サービスで工夫されていることはありますか?
香川
一般的な手続き業務や給与計算のアウトソーシングは差別化が難しいと思っており、労務相談と、そのプラスアルファで付加価値が出るように工夫しています。
初年度に多かった助成金の受注をやめ、経営者にも社員にも分かりやすい、イラスト付きの就業規則を開発するなどの工夫をしています。
就業規則も作成して終わりではなく、アフターフォローや社員面談をセットするようにしています。結果、「社労士ってここまでやってくれるの?」という嬉しいお声をいただくことも増えてきました。
ー社員面談の評判がいいのは、嬉しいですね。
香川
その中では社長にとって耳の痛い話も出てきますよ。しかし顧問料は経営者のポケットマネーから出ているわけではありません。会社全体で利益を生むためには社員の声も必要ですし、社労士がそれを吸い上げることができれば、お役に立てるはずです。
そして気付いたのは、このサービスを買ってくださる経営者は「いい会社をつくりたい」と思っている方だということです。いい経営者はいい経営者を紹介してくださいます。そのおかげで顧問先には恵まれていると思っています。
顧問先の満足度を上げる「根拠資料」
ーHRbase PROの活用についてお聞かせください
藤井
HRbase PROは根拠がしっかりしているので、安心して利用できます。特に「労務管理ガイド」では手続きの一連の流れがわかり、自分がどの段階にいるのかを確認できて助かっています。
香川
労務マガジンも、旬の情報が届くのでありがたいですね。先日、定額減税についての記事が届いたので「気をつけないと」と意識できました。
労務相談は反射的に答えてはいけない業務です。「なんか嫌な予感がする」という違和感があったら保留し、根拠を調べてから回答しているのですが、HRbase PROは調査の時短に役立っています。
ー根拠調査に使っていただいているのですね
香川
そうですね。あとは「資料一覧」から資料を取り出して添付することもありますよ。回答文章のたたきはAIに書いてもらうことも増えましたが、最終的には私が責任を持って作成し、「根拠はこれです」とお知らせすること自体がクオリティアップと差別化につながっていると思います。
ー顧問先からの信頼を積み上げていく秘訣ですね!
香川
あと「できません」という回答をしないことも意識しています。根拠を示すだけではなく、どう対応するかが我々の腕の見せ所ですから。
ー根拠資料探しに、労務相談AIはお使いになっていますか?
香川
もちろん活用しています。ChatGPTなど汎用性の高いAIでは、事実に基づかない情報が生成される「ハルシネーション」にも注意が必要ですが、HRbase PROはそれがないので安心です。単語検索ではなく、自然言語で検索することにも慣れてきました。
藤井
労務相談AIは私も日々使っています。先日は産後パパ育休について調べる必要があり、普通の育休と何が違うのかなどを教えてもらいました。
ー労務相談AIへ期待いただいていることはありますか?
香川
労務相談AIには完成形を求めているわけではなく、「面白そうだから」がモチベーションです。これから、私のように面白がって使う社労士が増えると思いますよ。精度もこれからどんどん上がるでしょうし。
ーありがとうございます。精度はもちろん、使い勝手も向上させていっております。
香川
精度が必要なのはシステムだけではありませんよね。私たちのような小規模事務所のクオリティが低いと、大企業と中小企業の格差も広がってしまいます。中小企業を支えるという意味でも、社労士にはできることがたくさんありますし、私たちもHRbase PRO同様にクオリティアップを目指していきたいです。
多様なサービスで目指す、よりよい価値提供
ー今後はどのような事務所を目指されますか?
香川
今後も給与計算や手続きをベースにするという基本は変わりませんが、そのうえでスタッフの特性にあわせて事務所の方向性を決めていくことが、経営者のあるべき姿だと思っています。
たとえば社労士知識を活かすコース、勤怠ソフト導入支援コース、人事コンサルコース、メンタルヘルスコースなど、それぞれの強みを活かしたサービス開発がしたいですね。
入り口は手続きであっても、提案すれば価値をわかっていただけますし、そこから深いつながりを生むという戦略を取っていきたいです。
ーそれはステキですね。HRbase PROも支援させていただきます。
香川
私も自己流で学んできており、HRbase PROがなかったら藤井さんに労務管理を教えることにもっと時間が必要だったと思います。入社手続きひとつでも、自分の頭の中では流れを理解していても説明は大変なんですよね。
しかし育成にかけられるリソースは限られていますから、HRbase PROを使って効果的に事務所のクオリティを上げていきたいです。