お話いただいたのは

事務所名多田社会保険労務士事務所
所在地大阪府堺市
代表
社会保険労務士
多田肇さま
HRbase PRO導入時期2024年3月

労務相談AIで、頭の整理

ー事務所について教えてください。

多田
大阪府堺市で事務所を経営しています。
社労士の資格は15年ほど前に取得しましたが、開業は令和2年9月です。年金事務所で5年、社労士法人に2年ほどの勤務経験があります。
完全にひとりでやっているので、HRbase PROは毎日のように使っていますよ。

多田さま

ーHRbase PROでは「労務相談AI」を一番活用していただいているとお聞きしました。

多田
労務相談は、「知ってはいるけど、端的には答えられない」ということの連続ですよね。その都度ネットや本を開きますが、新しい情報に目移りし、気が付いたら時間が経ってしまうことってありませんか?

ーほしい情報にたどり着くまでに寄り道をしてしまいがちですよね。

多田
労務相談AIは、それを回避できるので助かっているんですよ。

たとえば「就業時間中に就業規則を読むことは労働時間になるのか」という相談があったとして、自分の中に何となくの答えはありつつ、アウトプットに時間がかかりそうなとき。

労務相談AIに「業務時間中に就業規則の閲覧をしていた場合、これは労働時間に該当するでしょうか」という質問をすると、100点の答えは返ってこなくとも「このような観点から、このように考察することが可能です」というアプローチ方法をささっと教えてくれるわけです。

会社の実情によって判断は変わるわけですから、ここから先は私の仕事ですが、「こういう切り口もあるな」という方向性のヒントがあるだけで寄り道が減り、時間は大きく変わります。このようなツールは他にはありませんから、だいぶ重宝します。根拠資料も付いてきますしね。

ーかなり具体的に活用いただいていますね!

多田
先日は、顧問先から離職票発行時の本人確認について質問がありました。音信不通などで本人確認が取れない場合は証明書を書く必要がありますが、その記入例はあまり見つかりません。

そこで労務相談AIに「被保険者の確認を得られないやむを得ない理由について具体例を複数挙げてください」と聞くと4つ教えてくれたんですよね。

ーAIへの指示に慣れていらっしゃいますね!

多田
どこから考えるか、どこにリスクがあるかなどの頭の整理に、労務相談AIが役に立っています。

労務相談AIとChatGPTを使い分け

ー労務相談AI以外の一般的なAIツールもお使いですか?

多田
労務相談AIとは違う役割で、ChatGPTも使っていますよ。

ーどのように使い分けていらっしゃいますか?

多田
前述の通り、労務相談AIは労務的な切り口を考えたり説明資料のたたきを作成する役割。それに対しChatGPTは、その資料をどう説明するかのシナリオづくりの役割ですね。

私なりに「このポイントを説明したい」などのイメージは持っていますが、伝え方の順番や段取りをChatGPTにも考えてもらっています。

プロンプトの例としては 「あなたは優秀な社労士です。スポット依頼の企業さんに月次顧問契約の締結を提案するに当たって、社長が月次顧問契約に前向きになるような提案トークを考えてください。提案先は〇〇の会社です」のようなイメージで、社長の顔を思い浮かべて盛り込む内容を指示していきます。

ーすごいですね!

多田
労務相談AIには労務に特化して指針を示してもらう。
その指針の展開の仕方やアプローチの部分はChatGPTに考えてもらう。
これが今のところよい使い方だと思っています。

自作資料はハイブリッドで

ーHRbase PROのオリジナル資料などはお使いでしょうか。

多田
私はレジュメを自作するようにしているのですが、HRbase PROのオリジナル資料でわかりやすいものを発見したらそのまま拝借して、添付資料として活用することもあります。

あとは、ハイブリット活用ですね。たとえば同じひな形でも、厚労省のひな形、HRbase PROのひな形、それ以外のひな形と、少しずつ違いますよね。
自分にとってドンピシャのひな形は少ないため、それぞれの書き方や項目などのいいところを抜粋して自分なりにカスタマイズしています。

ーお気に入りの資料はありますか?

多田
産前休業前面談シート(下記画像)と、年齢早見表をよく利用しています。顧問先にそのまま渡せるのでとてもありがたいですね。

産前休業前面談シート

HRbase PROの資料のよいところは「この文章、この内容、この書き方だから伝わる」というわかりやすさです。法律的な文章ではなく、お客さん目線の文章になっていますよね。HRbase PRO作成の育児介護休業規定の柔らかい文章を応用しながら、カスタマイズしたりもしていますよ。

開業は2回目、自分らしいスタイルを発見するまでの道

ーとても効率的に業務を進めていらっしゃいますが、これまでどのようなご経歴なのでしょうか。

多田
実は開業は2回目です。紆余曲折があり、決してスマートな道を歩んできたわけではありません。

就職氷河期に大学を卒業し、就職難の中で「将来は会社員に拘らず人の相談に乗る仕事がしたい」と考え、税理士を目指しました。就職浪人中に簿記2級を取得し会計事務所で働き始めましたが、実績数字を追う税理士の仕事より、現状の労働環境を考え将来を築く社労士の方が魅力的に感じました。業務の負担が大きかったこともあり、目指す方向を税理士から社労士へと方向転換しました。

転職して大手メディアの管理部門で管理会計、財務会計に従事しながら勉強を続け、6回目でようやく合格。ちょうど社会保険庁が日本年金機構になった時期で、中途採用の大量募集があったので年金機構の厚生年金適用調査課に勤務し、届出の審査や、事業所調査などをしていました。

ーでは、社会保険についてはお詳しいのですね。

多田
そうですね、かなり詳しくなりました。しかしその後異動になった徴収課の業務が自分に合わなくて。社会保険料を支払えない会社に対して事務的に対応することを求められました。

もちろんそれは、社会保障の観点から必要であることは理解していましたが、「話を聞いてニーズを汲み取る仕事」がしたくて社労士になったのに、それができない仕事であったのが苦しかったですね。

ーお辛いですね・・・。

多田
そして契約終了後に一度開業しましたが、覚悟や準備不足でうまくいかず、社労士法人に就職しました。その法人では多くの経験を積みましたが、健康上の理由で退職することとなりました。

その際に気付いたのは「私は会社組織で力を発揮するよりも、事業主として働く方が向いているのではないか」ということです。組織に無理に合わせるのではなく、自分と向き合いながら自分のペースで働こうと決意し、現在二度目の開業をしています。

ー今はとても先生らしく働かれているようにお見受けします。

多田
自営業は自分しかいませんから、自分で自分に常にフィードバックする必要があります。ステップバイステップで歩んできたので他の方の参考になるかわかりませんが、私には今のスタイルが合っていると思っています。

他事務所との差別化は、価値観の共有

ー他の事務所と、意識的に差別化してることはありますか?

多田
価値観を共有することでしょうか。「ルールはこう、だからこうしてください」という対応は私ではなくてもできますし、それこそAIに聞けば答えてくれます。

そうではなく「この法律の趣旨はこうです」「その結果がこのルールなので、御社の状況にはこれが必要で、だからこそこのルールを守る必要があると私は思います」というストーリーでお話するようにしています。

ー労務管理に詳しくない方にとってはありがたいですね。

多田
私は、「社労士が言ってるなら、よくわからないけどそうなんだろう」と思われるのが悲しいんです。顧問料って安いお金ではないと思っていますし、労務分野における価値を認めてくださるからこそであって、その価値観の共有の結果が顧問料だと考えます。

ある統計データでは、中小企業の経営者の1番の関心ごとは財務です。だからこそ会社を設立したら税理士先生を顧問にするわけです。

2番目の関心ごとは「人」です。2番目に大切な部分をフォローするのは、労働・社会保険分野の専門性と対応力を備える私たち社労士が最も適任だと自負しています。しかし顧問社労士がいる会社は、顧問税理士より少ないですよね。

ー社労士の価値向上は、HRbase PROも目指しているところですが、まだまだ成長と改革が必要だと思っています。

多田
お金と同じくらい人が大切だという「価値観」の共有ができれば、状況は変わっていくはずですし、そうではないと継続的なお付き合いも難しいですよね。
差別化という点でも、私のこのスタイルをご理解いただけるよう、日々努力しています。

労務管理は甘くない。だからこその社労士の価値

ーこれからの事務所経営に、HRbase PROはお役に立ちそうでしょうか。

多田
よくいわれるように、労務相談の価値がもっと上がっていく時代になるでしょう。 そうなったときに、HRbase PROには労務ツールのポータル的な役割を持ってほしいと思っています。

ー ポータル的な、とはどのようなことでしょう。

多田
HRbase PROにログインしたら、そこがあらゆる情報の入り口になっているというのが望ましいと思います。せっかく労務相談AIができたのですから、根拠資料が紐づいて出てくるという画期的な部分を活かしていただければ。

たとえば・・・私がカレーライスをつくりたいときはジャガイモやニンジン、肉を買ってきて、白ごはんを炊いてという工程が必要ですが、その「材料確保」の部分をHRbase PROが一気に担ってくれて、かつその材料のクオリティが高かったら、私たちの効率は飛躍的に向上します。欲しいものがパッと手に入る、高品質なショッピングモールというイメージとでもいいましょうか。

ー私たちも、Google検索の雑多な情報から「アテ」を探すという社労士先生の大変さを知っています。それは間違ったやり方ではありませんが、まずHRbase PROで探していただけるような世界を目指しています。

多田
そこから「私らしいカレー」をどうつくるかは、私の仕事です。社長によって好みは変わりますが、「辛いけど、でも食べたいわ」って言ってもらえると嬉しいですね。労務管理は甘いだけのものではありませんから・・・。

ー面白いたとえですね。顧問先にとっても、多田先生のわかりやすいお話が労務管理を理解するキッカケになっていそうです。

多田
ある社労士先生が「社労士は社長にとって1番身近な外部の人」ということをおっしゃっていました。

確かに、社内の人が社長に言えないことを翻訳して伝えたり、社長にとって面白くないことであっても現実と気持ちとを理解しながら選択肢を提案し、「御社に合ってるやり方を決めてください」と社長の決定をサポートできるのが、よそ者としての社労士の役目です。

私も、ルールを守るためだけではなく、社長のやりたいことがルールに添うような最適解を探して差し上げる、経営者に寄り添えるよそ者でありたいと思っています。

ー貴重なお話をありがとうございました。引き続きHRbase PROを「労務相談に強い事務所づくり」にお役立てください。

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