新型コロナウイルスの影響で出社を制限し、テレワークを行う企業や休暇を新しく導入する企業の増加にともない、厚生労働省からのテレワーク導入、もしくは特別休暇を設定した会社に対する助成金がありましたが、助成金の名称と内容が令和2年4月から変わりました。今回、その内容について記事で解説していきます。
助成金の概要
新型コロナウイルス感染症対策として 「①テレワークを新規で導入する② 特別休暇を導入する 」を行った会社に対し、導入にかかった費用の一部を支給します。
助成金の正式名称は、それぞれ
①働き方改革推進支援助成金 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
②働き方改革推進支援助成金 職場意識改善特例コース
となります。
①と②の支給要件は異なりますが、それぞれの要件に合致すれば、両方のコースで申請できます。また、この時間外労働等改善助成金は、中小企業限定で申請が可能となっています。
【中小企業の範囲】
産業分類 | 資本または出資額 | 常時雇用する労働者数 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
①テレワークを新規で導入する(時間外労働等改善助成金 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
【対象企業】以下のすべてを満たす企業
中小企業 / 今までテレワークを行ったことがない / 実施期間中(2月17日〜5月31日)に1人以上がテレワークを実施した/1人以上、直接雇用している社員がいる
【対象費用】
・テレワーク用通信機器の導入や運用費(WEBカメラ、スピーカーなど。)
・シンクライアント端末(パソコン、タブレット等)
・クラウドサービスの導入費
・就業規則や労使協定等の作成、変更(社労士の作成費用、コンサルティング料など)
・労務管理担当者や労働者に対する研修、周知啓発にかかる費用
※シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費は対象外です。
※パソコン、タブレット、スマートフォン、ルーターなどのレンタルまたはリース費用については5月31日までに利用し支払った経費は対象になります。
【支給額】
対象の費用の1/2 ※ただし上限額:100万円(1企業当たり)
助成金取得のためには、「交付申請(事前準備)」と、「支給申請(計画期間内)」の2つが必要です。
・ステップ1〜5は、事前準備として、交付申請書(計画書)を書くために必要なこと
・ステップ6~9は、支給申請のために計画期間内に行うこと
として記載しています。
事前準備として、交付申請書(計画書)を書くために必要なこと
まずは事前準備をはじめましょう。
ステップ1 厚生労働省のサイトから申請書類をダウンロードする
書類は以下サイトにあります。リーフレットも一緒にダウンロードし、参考にすることをおすすめします。 参考|厚生労働省 働き方改革推進助成金(テレワークコース)
ステップ2 担当者と、その職名を決める
労働者から、労働時間の意見や苦情を受け付ける担当者1名と、職名を決めます。たとえば「イキイキ労働時間改善委員」など、社内で決めておきます。
ステップ3 労働時間等設定改善委員会の名称を決める
名称は、上記で決めた職名を合わせます。「イキイキ労働時間改善委員会」などです。
ステップ4 事業実施の予定時期と、社内周知の方法を決める
以下ステップ6以降を実施し、完了させる時期を設定します。また社内への周知方法も決めておきます。メールもしくは掲示など、書面で確認でき、写真が取れる方法である必要があります。
ステップ5 「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を、テレワーク相談センターに提出
④~⑥のあとでも提出可能ですが、令和2年5月29日必着となっています。
「交付申請書類送付チェックリスト」にそって必要書類をそろえます。「交付申請書類送付チェックリスト」は交付申請書類と一緒に送付します。
テレワーク相談センターへ持参、郵送またはメール(申請書原本は郵送)で提出します。
支給申請(実施期間中 2月17日〜5月31日)に行うこと
交付申請書(計画書)を提出したら、以下のステップに取り掛かります。
ステップ6 ステップ2・3で決めたことを、4の方法に従って社員に周知する
ステップ7 事業実施期間中(2月17日~5月31日)に、対象費用となること(テレワーク用通信機器の導入や社労士による就業規則作成、研修など)を行う
ステップ8 事業実施期間中(2月17日~5月31日)に最低1人がテレワークを行う
テレワークを行ったと申請する日の業務時間に、就業していたことが証明できる資料(出勤簿、年休簿、賃金台帳、タイムカードなど)が必要となります。
ステップ9 事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請(7月15日まで)を行う
支給申請は、令和2年7月15日必着となっています。
テレワーク相談センターへ持参、郵送またはメール(申請書の原本は郵送)で提出します。
テレワークコースの問い合わせ先:
テレワーク相談センター (電話:0120-91-6479)
上記フリーダイヤルがつながらないときは:03-5577-4724、03-5577-4734(〜5月31日まで)
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1‐8‐11 東京YWCA会館3階
ここまでが、「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」の説明です。導入費用がハードルとなっていた会社は、ぜひ検討をしてみましょう。
②特別休暇を導入する(働き方改革推進支援助成金 職場意識改善特例コース)
※令和2年度の予算が成立しないときは、内容等が変更になる可能性があります。交付決定(計画の認定)は、4月1日以降になります。
【対象企業】以下のすべてを満たす企業
中小企業 / 労災保険に加入している / 実施期間中(2月17日から5月31日)に特別休暇の規定の整備を行う
【対象費用】
・労務管理用機器等の購入や更新(タイムカードや、労務管理システムの導入費など)
・就業規則や労使協定等の作成、変更(社労士の作成費用、コンサルティング料など)
・労務管理担当者や労働者に対する研修にかかる費用など
【支給額】
対象の費用の3/4
※事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5を助成
※ただし上限額:50万円(1企業当たり)
特別休暇の助成金をもらうためのステップ
助成金取得のためには、「交付申請(事前準備)」と、「支給申請(計画期間内)」の2つが必要です。
・ステップ1〜5は、事前準備として、交付申請書(計画書)を書くために必要なこと
・ステップ6~9は、支給申請のために計画期間内に行うこと
として記載しています。
事前準備として、交付申請書(計画書)を書くために必要なこと
まずは事前準備をはじめましょう。
ステップ1 厚生労働省のサイトから申請書類をダウンロードする
ページにある「申請様式」「申請マニュアル」をダウンロードします。「申請様式」の必要項目が埋まるように準備を進めます。不明点があれば、都道府県労働局 雇用環境・均等室 企画課に問い合わせます。
参考|厚生労働省 働き方改革支援推進助成金(職場意識改善特例コース)
ステップ2 担当者と、その職名を決める
労働者から、労働時間の意見や苦情を受け付ける担当者1名と、職名を決めます。たとえば「イキイキ労働時間改善委員」など、社内で決めておきます。
ステップ3 労働時間等設定改善委員会の名称を決める
名称は、上記で決めた職名を合わせます。「イキイキ労働時間改善委員会」などです。
ステップ4 事業実施の予定時期と、社内周知の方法を決める
以下ステップ6以降を実施し、完了させる時期を設定します。また社内への周知方法も決めておきます。メールもしくは掲示など、書面で確認でき、写真が取れる方法である必要があります。
ステップ5 交付申請書(計画書)を提出する
項目を埋めた交付申請書(計画書)を、「都道府県労働局 雇用環境・均等室 企画課」に、郵送または持参にて提出します(令和2年5月29日必着)。
ダウンロードしたマニュアルの中に「交付申請チェックリスト」があります。
交付申請チェックリストの内容にそって提出するようにましょう。
支給申請(実施期間中 2月17日〜5月31日)に行うこと
交付申請書(計画書)を提出したら、以下のステップに取り掛かります。
ステップ6 ステップ2・3で決めたことを、4の方法に従って社員に周知する
ステップ7 労働時間等設定改善委員会を実施する
支給申請時に、その会への参加者名簿や議事録、写真の提出が求められますので、開催時の記録はきちんと取っておきます。名称は、ステップ3で決めた名称で実施してください。
ステップ8 事業実施期間中(2月17日〜5月31日)に特別休暇の制度を導入した就業規則を施行する
社員数が10名以上のときは、管轄の労働基準監督署へ届出が必要です。
ステップ9 各都道府県労働局の雇用環境・均等室に、必要書類を提出する
ステップ1でダウンロードしたマニュアルに従い、支給申請の必要書類を作成し、郵送または持参にて提出します(令和2年7月15日必着)。
マニュアルの中に「支給申請チェックリスト」があります。
支給申請チェックリストの内容にそって提出するようにましょう。
職場意識改善特例コースの問い合わせ先:
都道府県労働局 雇用環境・均等室 企画課
厚生労働省資料|働き方改革推進助成金(職場意識改善特例コース)のご案内
両コースに関係する注意事項と期限
【注意事項】
・計画の事業をおこなう上で、経費の算出がわかる書類が必要です(見積書など)
・労働時間改善委員会を実施したことがわかる全体写真、議事録、議事次第が必要です
・周知されたことがわかる書類が必要です(掲示している写真など)
・対象費用の支払いは、クレジットカードはNGです
・機器を導入したときは、請求書、納品書、支払ったことがわかる書類が必要です
【期限等】
交付申請(計画書)・・・令和2年5月29日必着 / 支給申請・・・令和2年7月15日必着
まとめ
新型コロナの影響で、今まで考えていなかった会社でも、否応なしに対応が迫られているテレワークなどの制度導入。今は緊急事態ではありますが、国の導入支援があるうちに、検討をしてみましょう。これらの助成金は、今後も要件の拡大や変更が予想されます。そのとき最新の正しい情報を得て、会社のリスクを最小限に食い止める行動は、この危機的状況を乗り切ったあとの「働きやすさ」にもつながるはずです。